表紙はタオル地の手ぬぐい。温かみのある本(アズマ綴じ並製)
仕上がりサイズ | B5横長変形(縦200㎜×左右250㎜×厚さ38㎜) |
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綴じ方 | アズマ綴じ並製(背中にクロス貼り) |
本文 | 320p(キンマリSW 46/135kg) |
見返し | アラベールスノーホワイト 46/160kg |
表紙 | チップボール#28にタオル地(手ぬぐい)を貼り付け |
皆さんこんにちは。
それでは本日のおはなしはこちらです。
第45回製本実験
今回は、表紙にタオル地の手ぬぐいを貼り付けてみました。
どんな本?
遠目から見ると何だか無機質な石膏ボードのような感じですが、段々と接近して見てみると…皆さんお馴染みのタオルです。
B5横長サイズで320ページもあるためかなりの重厚感を感じさせますが、触ってみると、いつも使っている柔らかいタオル。とても柔らかく頬ずりしたくなるような感触です。朝、顔を洗う時や手を拭く時、毎日のように触っている、あの手触り…まさにタオルです。
タオルは普通に四方が断裁してありますので、断裁面から糸くずがぼろぼろと取れてきて、見ている側からあちこちに糸が纏わりつきますが、まぁ、そこは許していただいて。
背には赤色のクロスを貼っています。ワンポイントになって、なかなかタオル地との相性がよいですね。
なんとまぁ、今までに無い、面白い雰囲気のサンプルが出来上がりました。
開いてみると?
開いてみると、本文は真っ白。これまでにも登場している、キンマリSWという用紙を使用しています。
上質紙の一種で、表面がコーティングされていないため、インキを吸いやすいという特徴があります。やや落ち着いた発色になりますが、反射が少ないため比較的目に優しい用紙です。
ページ数が多いため少し浮いたようになっていますが、アズマ綴じを採用しているため、ページの開きは抜群です。
何ができる?
タオル地からは、温かみや安らぎといったものを感じます。
今回は手ぬぐいを使ったためやはり和風になりましたが、エスニック柄のものやスカーフのような手触りのものを使用すればエスニック風にしたりもできそうだと思いました。タイダイ染めで柄を付けた布を貼っても面白いですね。一冊ずつ違う表紙になって、特別感が生まれそうです。
そういえば、皆さんはご存知でしょうか。海外からの観光客の方がよく持っておられる、とても吸水性の高いタオル。
“microfiber towel”と呼ばれるのですが、耐久性と吸水性に優れており、繊維が短く畳んでも嵩張らず、とても軽いため旅行者に重宝されています。ゴミやホコリが付きにくいため、クリーニングクロスや椅子張りの生地などにも使用されています。今回の生地は断裁したところから糸くずが取れてくるのが少し問題でしたが、こういった生地を使えばすっきりしそうです。
普通のタオルだと手垢が付いて劣化していきそうですので、本の表紙にするなら少し強めの生地を選ぶのがいいかもしれませんね。タオルではありませんが、テーブルクロスになるような生地であればしっかりしていてデザインもいろいろ選べそうです。
古着の「リユース」として表紙に
皆さんは、自分や家族の着古した服をお店に売った後、どこへ行くか考えたことがありますか?
しばらく前から問題となっているのが、服のゴミ問題です。日本やアメリカ、イギリス、ドイツなどなど…先進国から輸出された古着を発展途上にある国が輸入し、最終的に買い手のない服がゴミとして廃棄され、ゴミ山となっています。これは途上国でも問題となっており、アフリカの国などで古着の輸入を禁止する動きがありました。しかし、結局禁止はされておらず、今でも毎年ゴミ山は増え続けています。
こういった古着や使い終わったものを生まれ変わらせた形として表紙に使ったりもできないでしょうか?再生紙があるように、使い終わった服や布を本の表紙としてリユースしてみるのもいいかもしれません。わざわざ新しいタオルや生地を用意するのではなく、こういった再利用の形もアリだと思います。(古着でブックカバーをつくったりされている方もいるようです!いいですね。)
いろんな国やブランドの古着で表紙をつくるというのもなかなかオリジナリティがあってオシャレだと思います。そして、何かを生み出すのと同時に使い終わったものを再利用する、というアイデアが素敵だと思います。
わたしの勝手な思いつきですので実現するかどうかは分かりませんが…こういった試みも面白いですね。
(参考記事: 着られなくなった衣服の“末路”とは… | NHK WEB特集)
本日のおはなしはいかがでしたか?
試作品は、思いの外、面白い感じに仕上がってご機嫌です。
手ぬぐいに限らず、タオル、布、古着…表紙アイデアはいろいろありそうです。本の中身に合わせて、ぴったりの素材を選んでみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。何かのヒントになれば幸いです。
また次回のおはなしでお会いしましょう!