Vカットのスイスブローシュア製本で高級感のある仕上がりに
仕上がりサイズ | B5変形(縦188㎜×左右180㎜×厚さ13㎜) |
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綴じ方 | 糸綴り並製+背中に紙テープ貼り |
本文 | 62p(ユーライト 46/110k) |
表紙 | ユーライト(46/110k)+芯材NPCC#20(Vカット) |
皆さんこんにちは。
毎週火曜日更新「製本実験室」。今回で66回目のレポートです。
手ぬぐいや壁紙、タイルカーペットなど、いろんな素材を使ったり、面白い形やサイズにしてみたり……様々な試みをしてきました。
製本を検討されている方、デザイナーさん、単純に本好きの方、様々な方に読んでいただいているようです(ありがとうございます!)。製本実験室のアイデアが少しでも何かに役立てられたり、もしくは単純に読んで楽しんでいただけたりしておりましたら、とても嬉しく思います!
それでは本日のおはなしはこちらです。
第66回製本実験
さて、今回はこちらの本。
真っ白な箱のような見た目をしています。
どんな本?
今回は過去にも似たようなものを作っていますが、表紙がVカットされていて、中身(本体)が表紙の片方(表4側のみ)に付いている、一般的にはスイスブローシュア製本と呼ばれている無線綴じの装丁です。
スイスブローシュア製本
オタバインドに似た無線とじの様式。見開きを良くするために本文に片側のみ横糊を入れて表紙をつないでいる。背加工した丁合本にコールドグルーの背糊と横糊を塗布し、柔軟性に富んだライニングで包む。さらに片側のみにホットメルトの横糊をスプレーにより塗布し表紙を接着する。
(出典:製本のひきだし)
オタバインドというのは、フィンランドで発明された無線綴じ製本で、非常に開きがよいことが特徴です。ライニングというのは裏地のことを指します。
芯ボールの溝の部分がVの字にカットされているため、Vカットと呼びます。折り曲げた時にちょうど直角になるようにできています。通常ですと2枚の芯ボールの間を少し空けて貼り付けますが、Vカットの場合、1枚の芯ボールにV字の溝を作ります。
Vカットの場合は角が綺麗に90度になり、ちょうど直角に曲がりますので、全体的にもすっきりとした仕上がりになります。
表紙をめくると?
本文が接着されていない方の表紙をめくると、本文の背中がしっかり見えます。
今回使用した背中のテープは本文と同じ白色ですが、テープの色を変えてみたり、デザインを工夫してみたりしても面白いかもしれません。
普通だと見えない部分ですので、開いて背中が見えていると、「おっ?」という驚きがありますよね。
開いてみると?
綴じ方は糸綴り、背中に紙テープを貼り、ページを重ねて糊で接着する無線綴じを採用しています。
何ができる?
Vカットでカチッとした表紙、高級感のある佇まい。個人的には、魔法や異世界を題材とした小説、もしくは占いの本など、「西洋の書物」のようなイメージがハマる内容のものにぴったりだと思いました。
今回は真っ白ですが、表紙にこれまで何回か登場した「ヌバテックス」のようなレザーの質感のある紙を使用したりしてもよいと思います。より洗練された印象になりますね。
本の表紙が本を包む箱のようで、箱の中に隠された書物、というような構造が、なんとも素敵だと思います。
今回のおはなしはいかがでしたか?
今回も少しでも何かのヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のおはなしにてお会いしましょう。