【実験的製本レポート】vol.12
今日は突然の雷雨、先日の九州の大雨のこともあるので、心配になりますね。
今書いている際中もゴロゴロと土響きをさせながら、雨が降り続いています。
ところで皆さん、紙には流れ目があるのをご存知ですか?
紙には製造工程において繊維の流れ方向が有り、それに沿った紙の流れ目が出来ます。紙の流れ目には下記のように割きやすい、折りやすいなどの特性に影響します。
流れ目の特性と紙の伸縮
紙の流れ目は使用する用途によって大きく関係するので、きちんとその特性を把握することが重要です。 流れ目は下記のような紙の特性に影響します。
また、紙は湿度によって紙内部の繊維が膨潤したり収縮したりすることで流れ目と垂直方向に伸縮することがあります。そして、紙の表裏の伸縮度合の差により紙が反ってしまうという現象が起こり得ますが、下図のように流れ目と平行方向に反りやすくなります。 そのため紙を保管する場合、その保管する環境の湿度管理に注意が必要です。
参照ページ:http://takeopaper.com/about_paper/line/index.html
「実験的製本レポートvol.12」
● 仕上がりサイズ:A4変形(縦305㎜×左右203㎜×厚さ20㎜)
● 綴じ方:アジロ綴じ(背中に特殊な布を貼り、開きをよくしたもの)
● 本文:100ページ(ワンダルアート K/125k)
● 表紙:クロス:ファインツイルNo.270-10
● コメント:
今回は、ちょっと大きめのサイズで開きがとても良い、表紙にクロスを使用したサンプルを作ってみました。本文は180度以上の開きを実現しており、ノド元も通常の無線綴じやPUR製本を行う時に発生するガリ目が出ていません。フルフラットに開いても、何の問題も生じません。また、表紙もハードカバーのように厚い紙ではないので、全体的に非常に柔らかい印象を与えます。
本文に使った用紙はワンダルアートと言って(http://www.tykk.com/tykk/brand/onedull/onedull.html)平滑性が有り、色の発色に優れた紙です。なので写真集などには最適です。厚めでそして開きが良いため、一枚一枚をしっかりめくって、じっくり見ていく、そんな感じの写真集に適してると思いました。